「契約不適合責任」 不動産取引の安心ガイド
はじめに
こんにちは!合同会社はっと家、広報担当です。今週も当ブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は不動産売買における重要なルール、**「契約不適合責任」についてお話しします。以前は「瑕疵担保責任」**と呼ばれていましたが、2020年の民法改正で名称と内容が大きく変わりました。買主様、売主様、それぞれが知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。
瑕疵担保責任から契約不適合責任へ
瑕疵担保責任とは、売買した不動産に、買主が通常の注意を払っても気づかないような隠れた欠陥(「隠れた瑕疵」)があった場合に、売主が負うべき責任でした。これは、雨漏りやシロアリ被害といった物理的な欠陥が主な対象で、買主は売主に損害賠償や契約解除を求めることができました。
一方、契約不適合責任は、売買された不動産が、契約内容に適合しない場合に売主が負う責任です。この「適合しない」という点がポイントです。例えば、売主が「シロアリ被害はない」と説明して売買契約を結んだにも関わらず、実際にはシロアリ被害があった場合、これは契約内容に適合しないと見なされます。この場合、買主は単に契約解除や損害賠償を求めるだけでなく、追完請求(修補や代替物の引渡しなど)、代金減額請求もできるようになりました。
この改正により、単に**「隠れた瑕疵」があったかどうかではなく、「契約内容」**が中心となり、より具体的に責任の所在が明確になったのです。

売主と買主のタイプによる違い
契約不適合責任は、売主が業者(不動産会社)か非業者(個人)か、買主が業者か非業者かによって、その適用範囲や免責事項が異なります。
1. 売主が業者の場合(宅建業者)
売主が不動産会社のような宅建業者である場合、契約不適合責任は原則として免責できません。これは、買主を保護するための**「宅地建物取引業法」**という法律で定められています。
- 責任期間: 売主が宅建業者で、買主が個人の場合、引き渡しから2年以上とする特約を定めることができます。特約を定めない場合でも、買主が不適合を知ってから1年以内に通知すれば責任を追及できます。
- 責任範囲: 物理的な欠陥だけでなく、契約内容に適合しないあらゆる事項が対象となります。
2. 売主が非業者の場合(個人)
売主が個人の場合、買主が業者か非業者かによっても違いはありますが、多くの場合、売主の責任は軽減されます。
- 責任期間: 契約不適合を知ってから1年間ですが、特約で責任期間を限定できることが多いです。例えば、「引き渡しから3ヶ月間」や「責任を一切負わない(免責)」といった特約が結ばれることがあります。
- 責任範囲: 契約書に記載された内容に基づいて責任を負いますが、個人間の取引では、契約不適合責任の範囲や期間を柔軟に設定できるのが一般的です。
3. 買主が業者の場合(宅建業者)
買主が宅建業者である場合、専門的な知識がある前提で取引が行われるため、売主の責任は軽減されます。
- 売主が非業者(個人)の場合: 売主の契約不適合責任を一切免責とすることが可能です。買主である業者が自らの責任で物件の状況を調査し、リスクを負うという考え方です。
- 売主が業者の場合: 上記の「売主が業者の場合」のルールが適用されます。
4. 買主が非業者の場合(個人)
買主が個人の場合、宅地建物取引業法や消費者契約法によって最も手厚く保護されます。
- 売主が業者(宅建業者)の場合: 法律により、売主の責任が免責されることはありません。
- 売主が非業者(個人)の場合: 契約書に記載された特約(責任期間の限定や免責など)が適用されます。この場合、契約内容をよく確認することが非常に重要です。
まとめ
契約不適合責任は、不動産取引における**「約束」**をより重視する考え方です。 売主様はご自身の不動産の状況を正確に伝え、買主様は契約内容を隅々まで確認することが、トラブルを避けるための鍵となります。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。 今後とも合同会社はっと家をよろしくお願いいたします!
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の取引や個別の事案について法的な保障をするものではありません。実際の不動産取引に際しては、必ず専門家(弁護士、宅地建物取引士など)に相談し、詳細をご確認ください。